おぢいちゃんは心配性

先日、山小屋で父が言った。
『おれは、コウトウガンかもしれないんだ』
このところ、声がかすれてノドの調子が悪いのだという。
『風邪じゃないの?』
などと軽くあしらっていたら、そうじゃないんだ、といって暗い顔をする。
『そんなに心配なら病院行けばいいじゃない』
と、誰も本気で心配していなかった。


父は病院へ行くため1日早く帰京。
受診した結果、コウトウガンの疑いはアッサリ晴れた。
診断は『老化』!
父は普段、仕事で声を使うので夏休みに入って声を使わなくなったらオカシクなり、それをコウトウガンかと思って山で陰気に声を出さずに生活していたら声帯の筋肉が衰える一方だったというわけ。


我々が山から帰ってからは、父母はずっとばかばかしく陰気な生活を送っていた模様。
母が『ごはんよ』と声をかけても返事が無いので父の部屋に首をつっこんで『ごはんよ!』と言うと
『ちゃんと返事したんだがなぁ〜。声が出せないっていうのは、辛いなぁ〜』
と鬱々…。


その後、老化に抗して声を出していたら衰えていた声帯の筋肉が復活し、声も元に戻ったそうだ。
『老化』という診断もけっこうキツイ。
そうか、父も老化してきたか。